クラン・コラ・ブログ(アイルランド音楽の森)

 アイリッシュ・ミュージックなどのケルトをはじめ、世界各地のルーツ音楽を愉しむブログです。そうした音楽の国内の音楽家も含みます。加えて主宰者の趣味のグレイトフル・デッド。サイエンス・フィクション、幻想文学などの話もあります。情報やメモ、ゴシップ、ただのおしゃべりなどもあります。リンク・フリーです。

タグ:iPod

Jaben のウィルソンおやじとファイナル・オーディオ・デザインの本社に行く。Muramasa の実物にお眼にかかる。ちょっと頭の上にのせる気にはなれない。もっともこれをベースに、はるかにユーザー・フレンドリーなヘッドフォンを開発中だそうな。そちらはヒジョーに楽しみだ。Muramasa の隣には、かの「伝説」のターンテーブル Parthenon がさりげなく置かれていた。



*「法隆寺再建・非再建論争」を、歴史家の気構えを教えられた学生時代の教訓の一つ と宮崎市定が書いている(「中国上代の都市国家とその墓地——商邑は何処にあったか」全集3所収)。この論争における非再建派の主張の基盤を、ウィキペディアは「非再建論の主な論拠は建築史上の様式論であり、関野貞の『一つの時代には一つの様式が対応する』という信念」としている。だとすれば、その「信念」は異なる言語ですべての語彙は一対一に対応する、と主張するようなものだ。こんな理屈がまかり通った背景が面白い。おそらくは「聖徳太子」の「御威光」か。


 もっとも、ウィキペディアの記事のこの記述には参照先が示されていないから、関野の名誉のために検証する必要はある。


 実物実地を重視する立場が、屢々本質を見誤るのは、実物実地という存在のもつオーラに眼がくらんでしまうからだろう。人間の認識力を信頼しすぎる、と言ってもいい。実物実地に直に接して、今自分が認識していることがすべてだと勘違いしてしまう。実物実地に接すると、人間は興奮する。その興奮がすべてで、それ以外はニセモノととりちがえる。


 実物実地は情報量が多い。時には圧倒的に多い。しかもそれがいちどきになだれこむ。人間の認識能力を遥かに超えることがある。オーバーロードしてしまう。すると、その「体験」に比べて記録は重要なものではなくなる。したがって自分の認識ではなく、記録の方が間違っている、と思ってしまう。その場合、記録が間違っているという主張には、明確な根拠はない。当人の「体験」とそれに基く認識だけである。


 これは歴史学のように時間軸上の異世界を探究する場合だけでなく、空間の中の異世界、異文化を探究する場合にもよく起きる。民族学、民俗学、文化人類学のような学問では生のデータでオーバーロードにならないような予防の方法論もできているはずだが、「趣味」の対象になると困ることがある。科学としての厳密さを求められないと、自分のココロがオーバーロードに陥っていることに気がつきにくい。個人の体験など、実はごく限られたものにすぎない。それが当人にとっては「絶対的に正しく」なる。それ以外の見方やとらえ方は「間違って」いるとして排斥する。


 どんなにささやかにみえても、ひとつの文化、ひとつの社会は個人に比べれば巨大なものだ。その前では、己の限界に謙虚でありたい。



*かみさんが読んでいるジョン・グリシャムのペーパーバックのサイズがやけに縦長なのに気がつく。比べてみると、従来のマスマーケット版と横幅は同じだが、縦は2センチぐらい長い。中身は上下もいっぱいに印刷してあるのもあれば、下に大きく余白をとっているものもある。使っている書体も違うのは、アメリカのペーパーバックにしてもいいかげんだが、概ね従来よりも字のサイズは大きい。いつ頃から始まったのか知らないし、最近新刊はまず買わないから、ベストセラーだけに限定しているのかどうかもわからないが、トレードペーパーバック以来の「発明」ではあろう。本のサイズは、表面だけ大きくなるのではなくて、厚みも出る。ということは重くもなる。コストも高くなるはずだ。なぜこういうことをするのか。


 あるいは Kindle iPad への対抗ではなのか。判型を近づけ、字のサイズも大きくする。


 紙の本はハードカヴァーが図書館向けなどの特殊なものに限られ、ペーパーバックと eBook が通常のリリース形態になると予想しているが、こういう試みがされるということは、それだけペーパーバックの売上げが減っているのだろう。



*新しく買った伝聴研の DAC がデジタル入力しかないので、MacBook Pro から光でつなぐ。すると、システム環境設定>「サウンド」で「デジタル出力」にしていても、プレーヤーで再生を始めると「AirPlay」に切り替わってしまう。Audio MIDI 設定でも AirPlay に出力が固定されてしまい、内蔵出力に切り替えることができない。Wi-Fi を切ると「AirPlay」は消えて「デジタル出力」だけになるが、ネットにつないだまま再生をしたい時には不便だ。Audirvana Plus では出力が切り替わると再生も切れてしまう。音も違う。AirPlay をオフにする方法がわからず、さんざん探しまわって、AirMac Express 本体にスイッチがあることに気がついた。AirMac ユーティリティのベースステーション設定に AirPlay のタブがある。心覚えのために書いておく。



*新 iPod touch のストラップはすこぶる便利。むしろ薄くなって、ストラップが無いと、本体をとりあげにくい。この辺、やはり使い勝手をいろいろ試してみた結果なのだろう。



*それにしても、われわれはいったいいつから、難問を前にして「逃げる人」になったのだろう。放射能の影響をできるだけ軽いものとみなそうとする人たち。原発映画という企画と聞いて「蜘蛛の子を散らすように逃げだした」人たち。ひたすら「安心」を求めるならば、かえって「安全」は得られないとわかっているのも「理屈の上」だけなのだろうか。その姿を見ていると、黒船来航後の幕府が髣髴とされてくる。(ゆ)


    本日11:00スタートで本誌10月号を配信しました。未着の方はご一報ください。
   
   
    iPhone/ iPod touch/ iPad 用 FLAC Player がすばらしいです。あまりの音の良さに、主なものはかたっぱしから FLAC でリッピングしなおしてます。FLAC のファイルにジャケット画像を埋め込む方法が今ひとつわらかないのですが、そんなことは枝葉末節。まるで、iPod が別のマシンになったよう。
   
    シャッフル・プレイができないのが、今のところ唯一の不満ですが、これさえ備えれば音楽は全部 FLAC に変えてもよいくらい。
   
    こういうソフトが出てくるのが「メジャー」になるメリットでしょうか。(ゆ)

    従来のものと違って、既存のケーブル類は使えないと以前書きましたが、検証不足でした。すみません、ちゃんと使えます。
   
    今日、別件とともに Audiotrak に改めて問い合わせたところ、使えるという返事をいただき、試してみたところ、OKでありました。ちょっときついのですがゆっくり押しこむときちんと固定もされます。 裏側のケースの縁の傾斜が急なので、裏から見るとコネクタが半分くらいも露出してますが、音に問題はありません。
   
    Audiotrak さん、ごめんなさい。 それにしても、このAUDIOTRAK AT-IACS3 オーディオケーブルは傑作です。と、お詫びもかねて、あらためて宣伝しておきます。これを使わずに、ポータブル・ヘッドフォン・アンプを語るな(^_-)。(ゆ)
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    本日 14:00 スタートで9月号を配信しました。未着の方はご一報ください。
   
   
    iPod touch は音はまた良くなったし、画面はきれいだし、これで変更になった Dock コネクタ対応のドック・ケーブルが早く出てくれれば、まず文句はありません。
   
    んが、ひとつちょと困っているのは、目覚ましとかタイマーの音がこれまでよりだいぶ小さい。
   
    Mac お宝鑑定団のブログによると、スピーカーが Dock コネクタ内部からコネクタ横に配置変更になったそうで、そのせいかもしれませんが、これじゃ、眼が覚めないよ。

    従来の Dock ケーブルが使えないのもこのせいではないでしょうか。ミニ・ミニ接続ケーブルでアンプとつなぐ手もありますが、やはり Dock のライン・アウトで聴きたいものです。(ゆ)

    新しいカメラ付きの iPod touch、いわゆる 4G ですが、Dock コネクタの構造が変更になり、従来の Dock ケーブルは使えないようです。
   
    ぼくのところだけかと思ったら、Head-Fi でも話題になっていました。

    愛用している Audiotrak にも問い合わせのメールを出しましたが、返事が無いのでまず間違いなく使えないでしょう。

    もし、新 iPod touch と一緒に Dock ケーブルも買おうとされるなら、ちょと待った方が良いでしょう。

    各社から Dock 対応の据置き型のオーディオ機器が続々出てますが、iPod touch 4G の Dock に対応しているか、確認された方が良さそうです。
   
    こういう情報はメーカーは対応した新製品を出すまでは公表しないので、独自に調べるしかありません。もし、オレのはワタシのは使えたぞ、という方があればご一報ください。(ゆ)

    一応メモしときます。

「携帯電話やポータブルプレーヤーをハブとして、カーオーディオやホームオーディオなどの家庭用機器に、Bluetoothや赤外線通信、無線LAN等を通じて音楽を再生できるシステムの構築を同協議会が中心となり推進していく」

    つまり、iPod からデスクトップ機器になんとか客を呼びこみたい、ということでしょうか。それともカーオーディオの方が大きいのかな。
   
    でも、これからの若者はクルマに興味がないそうですがねえ。それに動かせないハードは避けるかも。iPod と高性能イヤフォン、ヘッドフォンで音質は十分ですし。PHA かませれば、320kbps の MP3 でも、びっくりする音になりますから。
   
    ただ iPod と PHA とイヤフォン/ヘッドフォンが線でつながってなくてもいいのは、携帯性が飛躍的に良くなるはずなので、無線システムはどんどん推進してください。特に iPod と PHA の「塊」がねえ。PHA の中に受発信機をしこむのは難しいのかなあ。うん? PHA なんてニッチなものはこういう協議会の眼には入らないか。(爆)
   
   
    こんなニュースもあります。
TBSラジオ、iPhoneにクラシック番組 購入も可能
(ゆ)

    なんということだ、iPod touch で OS を 3.0 にアップデートしたら、iTunes 8.0 では使えない、8.2 にアップデートせよ、とのアラート。えー、そだなこと、聞いとらんぜよ。いや、どこかに書いてあったのかもしれんが、目には入ってなかったよー。
   
    iPod touch のダウン・グレードなんて、方法もわからんし、できたとしてもやれない。これから出てくるソフトは全部 3.0 以上が前提なんだから。
   
    となると iTunes をアップデートするしかない。しっかし、8.0 のあの「奇跡」の音はもう聞けない。というよりも、8.0 の音が「フツー」なのであって、それ以後のヴァージョンの音の方がヘンなのだ。
   
    それだったら Songbird の方が遥かにマシ、「フツー」に近い音で鳴る。折りしも Songbird の 1.2 が出た。今回のウリは iTunes との融合を進めたことで、Songbird のプレイリストを iTuens で見せたり、その逆もできるそうな。iPod の管理も、確かプラグインでできたはずだ。CDのリッピングには XLD がある。
   
    とすれば、いよいよ Songbird に全面的に乗り換えるしかないか。(ゆ)

 Dock コネクタ問題であれこれ試していたときに気がついたことが一つ。ユニバーサル・ドックのヘッドフォン(イヤフォン)・ジャックからの音が良くありません。これも変更点の一つですが、ドックにさしたままでも iPod 側で音量をコントロールできます。そのせいかどうかわかりませんが、ここに刺して聞くよりも、直刺しの方が音がずっと生き生きしています。これまでは文句なくドックのラインアウトからの音の方がよかったので、ちょっと意外です。

 それにしても iPod touch 2G の音は良いです。サウンド・ステージは広いし、奥行もあります。低音不足という声もありますが、「重低音」を求めるのでないかぎり、不足とは思えません。リトル・フィートのライヴ《レイト・ナイト・トラック・ストップ》やムーンライダーズの《アンソロジー 1976-1996》などを聴くかぎり、コントロールのきいた良い低音です。クレタの Stelios Petrakis《ORION》のタイトル曲はアラブ系の大型の片面太鼓が何枚(?)も活躍しますが、この低音もリアリティたっぷりに聴かせます。低音は羽毛のように軽いものがベスト。それに、これだけ高域の抜けがよいのは、低域が締まっているからのはず。

 総合的には、たとえばこれまでの iPod touch に Go-Vibe Petite を付けたときの音の9割ぐらい、ひっとするとそれ以上のクオリティではないかな。まったく同じ、というわけにはいきませんが、ここまでの音なら、わざわざよけいなものをくっつけることがマイナスになってきます。iTouch 2 自体も第一世代よりさらに薄くなっていますし。手もとの DOCK STAAR 製 DS-AUGpt を iPod touch 2G(以下 iTouch 2)対応してもらえることになったので、それでこれがどう変わるか。(ゆ)

 やはり、従来のラインアウト・ケーブルでは対応していないんですね。iPhone と同じらしい。ALO Jumbo Cryo Dock も対応していないよ、とサイトに出ていました。

 つい先日からメインで使っていたのは DOCK STAAR. さんの DS-AUGpt で、これも従来タイプ。ひじょうに気に入っていたので残念。まだ、買ったばかりなので、コネクタ交換とかで対応してもらえませんかねえ。

 んで、やむなく、直刺しの音はどうだろうと聞いてみて、いや、ちょっとびっくりしました。明らかに音が良くなってます。もともと iPod は新製品が出るたびに音が良くなってきてましたが、今回はみごと。アンプを付ければもちろん違いはありますが、これまでのように、一度アンプを通した音を聞いてしまうとはずせなくなってしまうというのではありません。直刺しでも充分勝負できる。というより、音楽をきくのが楽しくなる音です、これは。少なくともぼくが聞いているような、アコースティックな楽器が多い、比較的小編成で、音をいじらないタイプの音楽は聞いていて楽しい。意識しなくても音楽に引きこまれます。

 ワールド系はアコースティックでも、ノイズ成分が重要な働きをする楽器がたくさんありますが、そういうものもちゃんと聞かせてくれます。ヴォーカルや弦楽器のふくらみもボディがしっかりして、艶があります。ついこないだ来日したフィンランドのハーモニカ・カルテット、スヴェングのリーダー、ヨーコ・クッハラのソロ《SAALAS》の4曲目〈Rakkolevää = Bladder Wrack〉は、ドラムスとダブル・ベースのリズム・セクションを背に、ハーモニカとフィドルが丁々発止とやりあう名曲ですが、この後半、フィドルが比較的低音で響きもたっぷりにうたうところ、惚れ惚れしました。余談ですが、このヨーコ先生のソロは、スヴェングとは別の角度からハーモニカの可能性を追求していて、共演者もすばらしく、傑作です。

 これは Apple Losssless で聴いてますが、MP3 などの圧縮音源でも音楽を聞く喜びは変りません。

 直刺しがこれだけ質が高くなると、アンプ・メーカーもおちおちしてられませんね。生半可なものでは、通しても違いがわからなくなるんじゃないかな。Go-Vibe Petite と Magnum はさすがにちゃんと違いがあります。やはり、見通しが良くなって、どんなに音が重なっても崩れません。ミニ・ミニ・ケーブルでヘッドフォン・ジャックからとっての試聴です。

 えーと、一応 MacBook からの転送は iPod touch 2G 付属のケーブルで、iPod はレゾナンス・チップの板版、RS-SQUARE に載せてやりました。この転送法についてはこちら

 CDからの取込ですが、これは iTunes 8 で解決してしまいました。詳しくはこちらをご覧ください。ぼくは今は単純に AIFF で取り込んで聞き、長期保存は原則 Apple Lossless にしています。

 MacBook 上の iTunes 8 での再生も、上記のサイトにある方法でやると、もう他に何も要らない。

 ALO の新製品を買う手もあるんですが、DOCK STAAR. さんに散財してしまった(^_-)ので、当面は直刺しで楽しむことにします。こうなると、アンプよりもこんど Apple が出す In-Ear Headphones が気になります。当然、iPod 用に調整してあるはずだし。(ゆ)

 なんということか。ふつうの Dock コネクタでは音がとれません。iPod touch 2G 32GB が昨日到着。早速セットアップして、DS-AUGpt で Go-Vibe Petite につなぎ、さあ聞こうとしたら、音が内蔵スピーカーから出てきます。

 いろいろやってみましたが、ユニバーサル・ドックにさしこむと内蔵スピーカーから iPod 底部の Dock コネクタに出力が切りかわり、後ろのヘッドフォン・ジャックからは音がとれます。ただし、その隣にある Dock コネクタに接続コードをつないでも、やはり音は出ません。

 これでは iPod touch 2G ではポータブルヘッドホンアンプが使えないじゃないか。

 ざっと検索したかぎりでは、このことはどこにも出ていません。これはわが家の個体だけの現象なのでしょうか。

 今は時間の余裕がないので、とりあえず第一報。(ゆ)

 梅雨の晴れ間の散歩から帰ってきてみたら、Mac お宝鑑定団のブログでソフトバンクが発表というニュースが流れていた。

 ドコモはどうもアップルとは合わないんじゃないかと思っていたから、まあ、おちつくべきところにおちついたと言うべきではあろう。

 とはいうものの、待たされすぎて、当初の意欲が半減していることは確か。iPod touch で、あのインターフェイスも味わえてしまったし、ケータイを持たねばならない必要もあまり感じない。むしろ、やはりできるだけ手元にたくさん曲を持っていたいから、大容量のクラシックに惹かれたりもする。

 しかし、別の見方をすれば、むしろ、かつてのニュートンや一時期の Palm のような使い方、つまり PDA として本格的に使えるとおもしろいかもしれないMandal-Artが対応してくれると、楽しくなってくる。iPod 機能で音楽を聴きながら、Mandal-Art で原稿を書く、というのは想像するとわくわくしてくる。

 まあ、Mandal-Art とまでいかなくとも、iPhone 向けのテキスト・エディタあるいは高機能なメモ帳、Mori とか DEVONThink とか Yojimbo、あるいは Tree でもいいが、ああいうタイプのアプリが使えるようになると期待する。

 ウォークマンと iPod で音楽は「書斎」から解放された。変わってゆく風景の中で聞くことで音楽も変化するのは新しい体験だったから、今度は原稿を書くことが「書斎」から解放されるかもしれないと思うと期待もふくらむ。当然、生まれてくる文章も変わるはずだ。

 iPod touch でもやろうと思えば不可能ではないが、あのメモ帳だけでは文章を書こうという意欲が湧いてこない。iPhone だからプログラマは様々なアプリを開発しようという意欲が湧くのだろうし、こちらもそうして開発されたアプリを使う意欲が湧いてくる。実際には同じことなのかもしれないが、touch はどうも「iPhone もどき」という感じは否めない。

 と妄想をふくらませておいて、さて、いくらだろうか。

を JEITA つまり電子情報技術産業協会が発表しています。

 ぼくには先日メーカー側の態度を批判していた「権利者団体」の見解より、はるかにまっとうな意見に見えます。「権利者団体」の言い分は、メーカー側は iPod や HDDレコーダーで儲けてるんだから、少しはこっちにもよこせ、じゃないですかね。

 メーカーはそれなりに努力して商品を開発し、売りこんでいるので、ある程度はユーザーの意向を受けとめ、反映していなければならない。

 それに対して「権利者団体」は、いわば、寝ていてカネが入ってくるのに慣れてしまっていて、ユーザーの動向にはまことに鈍感になっているのでしょう。(ゆ)


Thanx! > Macお宝鑑定団


 フルCDは Apple Lossless でエンコードしていますが、サンプルでいただく CD-R や、雑誌付録のサンプラーなどはこれまで AAC でエンコードしていました。

 ハリス・アレクシーウの新作《酸っぱいチェリーと苦いオレンジ》のサンプル盤を聞いていて、ちょっと音質に首をかしげるところがあり、思いついて、iTunes-LAME を使ってみました。

 LAME はオープンソースで開発されている MP3 エンコーダで、マルチ・プラットフォームで動き、最も音質が良いといわれていますが、はたしてほんとうに音が良いのか。

 iTuens-LAME は iTunes と連携しながら、エンコードに LAME を使えるようにするフリー・ウエアです。単体で動き、LAME そのものは必要ありません。最新版 2.0.9-34(MacOS X 用)をダウンロードして展開し、「アプリケーション・フォルダ」に置きます。

 このアプリを起動すると iTunes も立ち上がります。iTunes の方から iTunes-LAME を立ち上げたい場合には、ちょっとからくりがあります。

1) iTunes-LAME のアイコンを選択して、Ctrl + クリックし、パッケージの中身を見る。
2) >Contents>Resources>Import with LAME....scpt を探す。
3) Import with LAME....scpt のエイリアスを作る。
4) Home/Library/iTunes/ に Scripts フォルダを作る。
5) 3) のエイリアスを Scripts フォルダに入れる。

 これで iTunes を起動すると、メニューに AppleScript のマークが追加されています。クリックすると Import with LAME... があります。

 iTunes のサイドバーで選択されているものに入っているファイル=曲で、「名前」の頭のチェックボックスがチェックされているものがエンコードの対象になります。

 とりあえずヘルプにあったサンプルを元に、192kbps の VBR 標準でエンコードしてみました。これを iTunes の AAC 320kbps でエンコードしたものと聞きくらべます。

 気になった曲というのは [09]〈もし分かっていたら〉でした。ドラムス、ダブル・ベース、ギターのリズム・セクションに、ブズーキが印象的なフレーズをくり返し、トランペットとネイが左右で熱いソロをとる、アルバム中でも最もロック寄りの、抜群にかっこいい曲。なぜか全体的に高域が強調されて、ヴォーカルもややうわずる気配。マッスの部分ではトランペットがうるさいくらい。

 iTunes-LAME でエンコードされたものはビットレートも低いのにもかかわらず、個々の楽器がしっかり聞こえます。それも、音の方から耳に入ってくる。高域の「ギラつき」も押えられ、それほど気になりません。何より細かい要素がどうのこうのというよりも、こちらの音の方が聞いていて楽しくなってきます。

 結局のところ、音質が良いというのは、「聞くのが楽しい」という感覚ではないか。ハードそのものをあれこれ聞き比べるのを楽しむのならともかく、音楽を聞きたくて、それもできるだけ「良い音」で聞きたいということならば、聞くのが楽しくなる音、ずっと聞いていたい音、どんどん音楽を聞きたくなる音が「良い音」でしょう。

 で、LAME の MP3 の音の方が iTunes による AAC の音よりも明らかに楽しい。ぼくにとっては。

 他でも試してみました。ちょうど Songlines 52号が着いたので、付録のサンプラーを iTunes-LAME MP3 と iTunes の AAC で聞きくらべてみました。やはり、LAME の方が楽しい。AAC では音にやや険がある。どこかつんつんする感じがあります。むろん、聞きくらべてみれば、の話です。今回たまたまハリス・アレクシーウの曲でひっかかるまでは、AAC でまったく満足していました。しかし、LAME の音を一度聞いてしまうと、AAC の欠点が耳についてしまいます。

 では Apple Lossless のフォーマットと比べたらどうか。
 が、これはさすがに Losless の勝ちでした。ファイルの大きさでいえば3倍から4倍の違いがあるわけで、比べてしまうと、MP3 はやはり圧縮しているとわかります。もっとも Apple Lossless でも、上と同じハリス・アレクシーウの曲では高域が強調される傾向はありますから、これは確かに iTunes の「癖」なのでしょう。あるいは iTunes が使っている MacOS X の Core Audio の「癖」かもしれませんが、それはまた別に検証が必要なので、また後日。

 ということで、iTunes で MP3 や AAC にエンコードされている方は、一度 iTunes-LAME を試す価値はあると思います。ファイル・サイズも AAC より若干ですが小さくなります。エンコードに LAME を使うというだけで、その他は iTunes をそのままですし。

 LAME には豊富なオプションがあり、iTunes の AAC 同様、256kbps までの VBR と 320kbps までのビットレートがあります。preset もあります。オプションの一覧はたぶんこれが一番くわしく、わかりやすいでしょう。

 iTunes-LAME の窓の中に、ヘルプのサンプルを参考にオプションを付けてエンコード(Import)すると、使われたオプションが履歴として残ります。(ゆ)

 中野のフジヤ・エーヴィックのブログで知った Entry の低反発ポリウレタンチップを試してみました。これまで使っていたのは Shure のソフト・フォーム・イヤパッドのS。こちらは5ペアで送料含めて2,500円弱。Entry のは3ペアで4,000円弱。1ペアあたりの単価では2倍強ですが、その差はあるのか。

 結果から言うと、ありました。

 まず装着感がまるで違います。
Shure は耳の中で存在を主張します。
それもかなり強力に主張します。
Entry はそれがない。
ヘタをすると、何かを耳につっこんでいるという感覚がなくなります。
相当長時間つっこみっぱなしでも気になりません。
これがどんなに嬉しいことかは、
試してみて初めてわかりました。
Shure がひどいわけではなく、
これまでも特に支障は無かったのですが、
Entry を体験してしまうともう戻れません。

 装着感が良いのは、低反発の質が良いからで、
耳道の内部への密着度も高くなり、
遮蔽性能も高くなります。
Shure で音楽を聞きながら街を歩くのを「危険運転」レベルとすれば、
Entry では「ノーブレーキ状態」です。

 われわれは周囲の状況を音で判断します。
特に、背後などの当面の視界からはずれる部分の状況把握は、
まず音が頼りです。
密閉式のヘッドフォンやイヤフォンをしたまま街を歩く。
ケータイの画面から目を離さずに自転車を走らせる。
ああいう人たちは超能力をお持ちなのでしょう、きっと。
ちなみに両方を一度にやってる人はまだ見たことがありません。
何らかの歯止めがあるんでしょうか。

 遮蔽性能が良くなるので、
音質も向上します。
Bauxar earphoneM の場合、一番目立つのは低域でしょう。
膨らみが増し、
より明瞭になります。
もっとも低域が良くなると、
それにつれて高域も良くなりますから、
全体的な改善ははっきりわかります。

 買ったのは、たぶん一番汎用性が高い T-100。

 Dock Starr のコネクタ・ケーブルもそうですが、こういうわずかな投資で確実に音が良くなってゆくのは楽しいです。(ゆ)

という調査結果が、アメリカで出たそうな。

 言われてみれば、
なるほどわが編集部も全員Macユーザーであるし、
その他、編集部の周辺の音楽関係者も、
知っているかぎりではMacユーザーがダントツに多い。
先日もひとり、窓からMacに乗換えた。

 理由はいろいろ見当もつくが、
何よりも、Apple の連中が音楽が好きなのであろう。
こういうところは、知らず知らずのうちに
また、目立たないところで、
しかし決定的に
現れるものである。

 あえてつけ加えれば、
音楽でメシを食べている人間が、
必ずしも音楽が好きとはかぎらない。
音楽が好きでもない人間が生み出した
音楽や録音や再生装置は
世の中にゴマンとある。
楽器だってあるはずだ。

 一方、逆もまた真なりで、
ビル・ゲイツはデッド・ヘッドだそうだが、
そのかれが作ったものには、
音楽が感じられない。

 むしろ音楽が商売として成功するのは
例外なのだろうか。
iPod はやはり「奇跡」の商品というべきか。(ゆ)

 Bauxer EarPhone M がやってきて10日ほど。
 タイムドメイン式も、
バランスド・アーマチュア方式も、
エージングによってあまり音が変わらないそうですが、
やはり少しはあるようです。

 一番変わってきたと思えるのは、
音のディテール、
細部の表現力が増しているところ。

 ヴォーカルの息継ぎで息を吸う音、
というよりは音になる前の気配でしょうか、
あるいは声を絞って消え入るようにうたいおわるところとか、
フルートなどの笛の空気音、成分でいえばノイズのところとか、
アラブ系の打楽器でよくある、やはりノイズのような、
メインの音と同時に鳴るビビるような音。

 たとえていえば、そういう音がよく聞こえる。
聞こえていなかったわけではないのが、
いっそうリアリティを増して聞こえます。
どの音もはっきり、明瞭に、というのでもありません。
はっきり聞こえるべき音ははっきりと、
かすかに聞こえるはずの音はかすかに、
それぞれの音の特性、個性そのまま聞こえます。

 それにも関連しますが、
EarPhone M は音源との距離が近い感じです。
きちんと聞きくらべたわけではありませんが、
K701 ですと、音場の全体像では似ているところがあっても、
音源から、つまり、ミュージシャンからの距離があります。
渋谷クワトロやAX、O-East あたりだと、フロアの中間から後ろ。
1,000人やそれ以上のクラスのホールだと、前から10から20列めぐらい。
頭や眼を動かさなくても、ステージ全体が視野の中に入っている感じ。

 EarPhone M ですと、どちらもかぶり付きです。
ソロの場合など、1メートル、あるいはもっと近い。
もちろん、録り方によって多少距離感は変わりますが、
総じて、ミュージシャン(たち)は目の前にいます。
大所帯のバンドだと、フロントが目の前で、
その後ろに他のメンバーが広がります。
左右の幅が広いものになると、
左右の端が自分の顔より後ろに感じるときもあります。
ここは好みが分かれるところかもしれません。

 ディテールが増すことと同じことかもしれませんが、
見通しがさらによくなってきました。
ベールがはがれるというよりは、
空中のほこりが少なくなった感じ、でしょうか。
嵐の後におだやかに晴れると空気が澄んで、
ものがはっきり見えますが、あれに似ています。

 ダブル・フランジもだいぶ慣れてきました。
はじめは、なぜか耳の上が締めつけられる感じもあったんですが、
聞こえる音楽の楽しさにつられているうちに、
その感じも消えるようになり、
この頃は、突っ込んだ直後もほとんど感じません。
まだ、他のイヤチップは試す時間がなし。

 屋外でも使っています。
遮蔽性はあまり高くないと前に書きましたが、
基本的な性能はあるので、
音楽が鳴っていると、
他の音は聞こえなくなります。

 これがちょっと不思議なくらいで、
極端に靜かな音楽の時や、
なにも鳴っていないとき、
音量を絞ったときには
電車の車内放送とか、車の走る音とか、子どもたちのはしゃぐ声とか
結構聞こえますが、
いったん音楽が鳴りだすと、
そういう音も聞こえなくなります。
聞こえていて、気にならないのかもしれませんが。

 それにしても楽しい。
音楽を聞くのが、ほんとうに楽しい。
タイムドメイン式の実力を発見した当初も楽しかったんですが、
スピーカーは慣れてしまうんですよね。
その音が、そういう鳴り方が当たり前になってしまう。
イヤフォンは、なんだか、日々新鮮。(ゆ)

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《LAS VEGAS》 良いだろうと予想はしていたのだが、
良し悪しを云々できるうちは
まだほんとうに良いとは言えない。

 いきなり、わし掴みにされた。
そして "Going on, going on" というコーラスに入ったとたん。

 陶酔
という表現があらわすものはこういうことだったのだ。
酒に酔うなどは陶酔とはいわない。
「感動!」とか「泣ける」とか、そんなものでもない。

 ほのかに悖徳の香りもする。
ここから先へは行ってはいけない。
とはいえ身動きもならない。
いまこの瞬間、地震がきたら、なすすべもなく死ぬだろう。
それもまたよし。
呵呵。
この声に陶酔しながらであれば、
地獄の底まで、
あるいは宇宙の果てまで、
運びさられようと
悔いはない。

 ということすらも雑念になる。
その時にはそんなことはなにも考えていない。
陶酔とは空白だ。
中身のぎっしりつまった空白だ。

 鬼束ちひろの新作《LAS VEGAS》の掉尾を飾る
〈everyhome〉を EarPhone M で聞く。
すぐ眼の前でかるくうたっている声にまず息を呑む。
日本語の美しさをひきたたせる声だ。
シュールレアリスムにまで踏み込もうとすることばの美しさ。
そして件のコーラスにかかったとたん。

 スピーカーで聞くと、
ここで少し奥へひくように聞こえる。
EarPhone M で聞くとそうではない。
高くなった声がなめらかに密度を増し、
もう少しでなまめかしいといえる艶を帯びる。
その声だ。
陶酔してしまうのは。
してしまうのか。
させられるのか。
共鳴か。

 身も心も弛緩している。
指一本動かない。
顔がほうけているのも、なぜかわかる。

 ピアノは徐々にはげしく、
全宇宙を満たそうと嵐を起こす。
日本語はますます美しく、
声はますます純粋になる。
欲望もなく、
希望もなく、
するとこれが涅槃なのか。

 しかし、やがてうたは終わり、
音が消える。
ふたたび時がながれはじめ、
胸は呼吸することを思い出し、
脳は各感覚器官からはいってくる情報を処理しはじめる。
涅槃からは覚めることはあるまい。
悟りは一方通行なのだから。

 煩悩の世界に帰って、
安堵する。
まだ、おれは生きている。(ゆ)

 イヤフォンMは EarPhone M なのか、それとも EarPhoneM なのか。
謎です。

 ネット検索でも、この二つでは違う扱いを受けるんで、
結構大事ではないかと思ったりもします。

 一昨日はこれを持って外に出ました。
バス、電車とも、問題ありません。
地下鉄でもOK。

 遮音性はそれほど高くありません。
とはいえ、Westone UM2 に比べれば、の話で、
あちらはやわらかいフォーム・チップを耳の奥までねじ込むわけですから、
比較するのが無理というもの。
感じとしては、Westone と、たとえば KP26 のような半密閉式の中間ぐらい。
音楽の方が靜かだったり、無音状態の時には、
車内放送とか、何を言っているのかわかります。

 ですが、音の輪郭がはっきりしているせいなのか、
音楽そのものは明瞭に聞こえます。
外の音がはいって来て
音楽を聞く邪魔になることはありません。
ここでもストレスフリーです。

 音もれはあまりないようです。
もっとも、ぼくが聞いているものは、
アコースティックな音楽が圧倒的に多く、
爆音もの(^_-)はありませんし、
ふだんから音量は絞りぎみなので、
一般的な参考にはならないかも。

 耳に入れる方向によって、音が変わるようです。
EarPhone M は円筒形で、音が出る線は一直線。
Westone のように途中で曲がっていません。
コードが真下に出るように突っ込むのが標準らしい。
それでも、耳の中で音の出る軸に添って円筒形を回転させると、
音が変わる気がします。
ただし、これは外耳道の形などによって
変わる人と変わらない人がいるんじゃないでしょうか。

 聞けば聞くほど、タイムドメインの音です。
タイムドメイン式のあの音を、
そのまま外に持って出られる。
あるいはスピーカーの置けないところでも聞ける。

 タイムドメインの音というのは、
タイムドメイン式に特有の音があるわけではなく、
ソースに入っている音をそのまま出してくるので、
ひどい録音は、情け容赦もなくひどく聞こえますし、
良い録音では、録音が良いとかいう意識も消えて、
ほれぼれと音楽を聞いてしまいます。
ついつい音楽の方には入り込んでしまうので、
試聴には向きません。

 音楽の良し悪しと、録音の良し悪しは
かならずしも一致しないわけですが、
そういう時タイムドメインはどうするかというと、
音楽の方を聞かせてくれます。
というより、
耳のほうで、つまりリスナーの心の中で、
悪い録音の中からそれでもよい部分を聴き取って
拡大するんでしょう。

 音楽が良いと、どんなにひどい録音でも
どこか1ヶ所か2ヶ所ぐらいはマシなところがあります。
タイムドメインはそういうところも正確に再現してくれるので、
聴覚が拾いあげることができる、
そういうことではないか。

 音楽を聞く時間が増えてます。
聞きたくなります。
このイヤフォンなら、あれはどう聞こえるだろう。
こちらを聞いてみたい。
すこし時間があると、
EarPhone M を耳に突っ込んでます。
いや、EarPhoneM か。
どっちだ!?(^_-)(ゆ)

 やりましたね
 ああ、しあわせ。
 朝一番で届いたのですが、
昼間は開ける暇がなく、
ようやく、この1時間ほど、聞いています。

 音が良いとか、解像度がどうのとか、低域中域高域のバランスとか
そういうことの前に、

まず 音楽がとびこんできます

いや、とびこんでくるものばかりではない。
靜かに満ちてくる音楽もあれば、
すうーっとすべりこんでくる音楽もある。
それぞれの性格なりに、しかしどれもどんどん流れこんでくる。
無理なところも、押しつけがましさもなく、ごく自然に。
この気楽さ。
ただひたすら音楽にひたれば良い。
ソースからあふれる音楽が、まんまの形で、そのままの音で、入ってきます。
というのは、タイムドメイン式のスピーカーを聞いている人には説明は不要でしょう。

 ライセンス商品ではないといっても、
タイムドメインの魂はしっかりこめられていて、
とにかく空間が広い。
頭の中というより、頭を包んでいる空間全体で鳴っている感じ。
その空間は、球形ではなく、
頭の両側に膨らんだ、
扁平な円盤型らしい。
Ultrasone の S-Logic に感じが似ていなくもないですが、
もっと自然で、無理がない。
時にはリード楽器、
たとえば《ZAPPA IN NEW YORK》の〈拷問は果てしなく〉での
ザッパのギターが、前方から聞こえるようなこともあります。

 しかも、その空間は空気が澄みきっていて、
個々のミュージシャンの位置はピンポイントでわかります。
どれくらいの音量で演奏しているのか、
録音によっては、立っているか、座っているかもわかります。
そういう一つひとつ「キャラの立った」音が
つながりあい、からまりあって、
時々刻々と生み出してゆく音楽、
その音楽の全体と細部の両方が同時に聞こえてくる。

 イヤフォンというものの性格からでしょうか、
細部の再現力がまず目につく、いや耳につきます。
クリスティ・ムーアの《AT THE POINT》のライヴでは、
近くで歓声をあげている聴衆の一人ひとりが聞きわけられます。
クリスティの声のあや、ニュアンス、息継ぎが、
手にとるようにわかる。
何の苦労もなく。
歌詞も明瞭で、リスニング能力が上がったように錯覚するほど。

 という、最初のリスニングは iPod touch に直にさして聞いてます。
ファイルは Apple Lossless 以上。
それでこのように聞こえるということは、
アンプをはさむとどうなるんでしょうか。
というお楽しみは明日以降。


 さあ、明日は、いやもう日付が変わってしまったから、

今日はフリーフォートだ。

3回目の来日で、「ますますすごいことになってる」らしい。
会場の北とぴあは良さそうなホールのようで、さらに楽しみ。

 ヴェーセンに続く、北欧ルーツ・ミュージックの真打ち。
いや、ヴェーセンを前座というつもりはさらさらないが、
ヴェーセン、特にアンドレのパーカッションの入ったヴェーセンは、
北欧云々よりも、唯一無二のヴェーセンなのです。

 北欧ルーツ音楽の王道はやはりフリーフォートに留めを刺します。
フリーフォートって何だ、という方はまずこちらから、動画とライヴ音源をどうぞ。
(動画ではまず「ポルスカ2」がお薦め)
これですこしでも面白そうだとおもったら、北とぴあに行きましょう(^_-)。
当日券もあるはず。
これを逃したら、当分は見られないでしょう。

 そうそう、アンドレの入ったヴェーセンのスタジオ録音
VARDENS VASEN 2007》を EarPhone M で聞いてたまげました。
アンドレがやっていることが全部わかります。
それ自体も凄いのだが、
アンドレがいかにとんでもないヤツか、
あらためて脱帽。(ゆ)

 20日配信予定の今月号ですが、諸般の事情により、21日配信を予定してます。乞う、ご容赦。


 iPod touch ですが、快調であります。ネットにはつないでいないので、脆弱性も関係なし\\(^^)//。

 インターフェイスは気持ちいいんですが、センサーが敏感すぎるのか、ちょっと触っても反応してしまうので、不器用な小生は、いやいやそれじゃない、そこじゃないよ、とそのたびにもとへもどらねばならず。とはいえ、それすら楽しいというタッチ操作であります。

 それよりも音の良さに喜んでます。ウチには初代 iPod nano もあるんですが、同じ構造でも確実に良くなっています。特に背景ノイズの低下ははっきりわかる。クリスティ・ムーアの静かな曲のように、小編成で音数も少ないとバックは「漆黒の闇」。その背景にクリスティのヴォーカルがくっきりと浮きあがると、もう抵抗できません。

 背景ノイズが低くなったせいか、分解能も高まったと思います。いよいよ Go-Vibe5 と Yuin PK3 の真価が発揮されてきた感じです。CrossRoads MylarOne XB なんてのも気になるんですが、この分なら、もう半年ぐらいはこの組合せであれこれ聞いている方が楽しいかな。Go-Vibe は作っていた人がもうアンプ造りはやめると宣言しましたが、後を継いで作る会社が決まったようです。

 発売後間もなくウィンドウズ国際版のトラブルでファームウェアのアップデートがあったわけですが、それでまた一段と音が良くなった印象。こんどの脆弱性対応のアップデートではどうなるか、楽しみ。

 ソフトのアップデートでそんなに違うのか、と言われるかもしれませんが、中身をバラしてみた人の話では、ハードウェアの構造自体はごくシンプルで、機能の大部分はソフトウェアが担っているそうなので、D/Aコンバータもソフトの方が大きいんじゃないでしょうか。そうすると、その部分がヴァージョン・アップされれば音が良くなる道理です。あるいはノイズフロアの低下はハードウェアで、分解能が高くなったのはソフトのおかげ、なのかも。

 後はもう少し容量が欲しい。せめて50GBぐらい、ということは64GBか、それくらいは欲しいですね。

 それと、ミュージック・プレーヤーのままにしておくと、ロックしてあっても、2日ぐらいほうっておくと、バッテリーが空になるようです。毎日使えばいいわけですが、そうもいかない時もあり。そういう時には下のボタンを押して、メニュー画面にしてからロックすると、バッテリーの減りは少ない模様。完全にシャット・ダウンすることもできますが、何週間も使わないケース以外はそこまでする必要もないんじゃないかな。(ゆ)

 EMIが楽曲の音楽配信からコピー防止技術をはずしたそうです。アップルのスティーヴ・ジョブズが各レコード会社は音楽配信から DMR をはずすべきだと訴えたのに、最初に応えたのはEMIでありました。最後まで抵抗するのがソニーかな。


後刻
 まだオマケがありました。この配信は 256kbps の高音質 AAC ファイルで行われるそうです。

 今 iTune Store で販売されているのは 128 kpbs ですから、単純に考えれば2倍の情報量になります。iTunes でカスタムで指定できるのは最高 320kbps で、256kbps はそのひとつ下のランク。例えばFMトランスミッターでカーステに飛ばして聞くケースのように、128 ではまだ音質に不満がある場合もありますが、256 ならば文句の無いところでしょう。むろん、あくまで音質を追求するするなら話は別ですが(^_-)。

 販売価格もその分高くなりますが、20セントのアップなら、リーズナブルだと思います。これでビートルズが出るんなら、ひととおり揃えてもいいなあ。今は亡きミホール・オ・ドーナルも大好きで、その音楽の基礎になっているビートルズですし。でも日本ではどうなりますか。いまでも1曲200円で割高感がありますからね。250円とかだとためらうな。アルバム1枚2,000円ならどうだろう。1,800円なら即買い。

というほどのこともないですが、正規代理店のエアリーにたずねたところ、詳細がわかり次第ウェブ・サイトで告知するとのこと。発売はやりは3月ですが、価格は未定。

 メーカーによると、Westone 3 ははじめからコンシューマ用に開発した製品で、音楽鑑賞用には UM-2 より上質の音だそうです。UM シリーズは元来は「フィールドモニタ」の由。

 フィールドモニタとしての IEM は無知でよくわかりませんが、やはりステージや屋外で、普通のモニタ・システムが使えない、あるいは使いたくない場合のミュージシャンやエンジニアのためのモニタ、ということなんでしょう。

 しかし、2月にはタッチ・パネル方式 iPod の噂もありますし、うーん、懐が……。

 耳の中にさしこむ形で外の音を遮る、いわゆるカナル形のイヤフォンがいろいろ出ていますが、編集部愛用の Westone Laboratory が新作を発表したそうです。それも CES ではなく、MacWorld に出したそうで、それだけでも、編集部的にはポイントが高くなります(^_-)。

 Wesotne はプロ用のイヤ・モニターの老舗で、音楽鑑賞用に UM シリーズを出してます。日本での知名度は低いですが、海外では定評があります。Shure E5c は UM-2 に そっくりで、あれは Westone の OEM ではないかと邪推できるくらいです。国内ではここで買えます。昨年できた新しい会社 Mix Wave というところも扱ってます。

 他の IEM つまり、イン・イヤー・モニタは聞いたことがないので、比較はできませんが、ふつうのヘッドフォンと比べてもWestone はナチュラルで、音楽を楽しく聞けるので、気に入ってます。遮音性も高く、散歩には危険です。編集部はもっぱら電車、バスでの使用。飛行機ではまだ試すチャンスに恵まれず。例えば地下鉄の中でも、無伴奏歌唱やハープのソロをじっくり聞けます。

 遮音性が高いので、いわゆる密閉型のヘッドフォンの代用にもなります。というより、他に密閉型を買う必要を感じません。もっとも、Ultrasone の DJ1PRO はちょっと聞いてみたいものではありますが。

 Westone 3 は IEM で最初の3ウェイ3ドライバだそうです。Shure の E500 すなわち SE530 など、今ある3ドライバのモデルはドライバは3つですが、高音用と低音用の2ウエイで、低音用が2つの構成。Westone 3 は高音、中音、低音に1つずつという構成。ちなみに UM-2 は2ウエイ2ドライバです。

 トラックバック先の記事のリンク先にある MacWorld での試聴レポートによれば、UM-2 とは段違いに良いそうなので、かなり楽しみ。3月発売、アメリカでの価格が400ドルだそうですから、日本では5万円ぐらいでしょうか。


Thanx! > Music to Go!

 ここで言うのはヘッドフォンのいわゆるアクティヴ・ノイズ・キャンセリング、つまり周囲のノイズに対して逆位相の音を出すことでノイズを消す、という形です。代表的なのはボーズの Quiet Comfort ですが、これが売れてるというので、各社からいろいろ出てます。先日出た JBL もラインナップに入ってました。

 原理的にはわからないでもないですが、どうもどこかに無理があるように思っていたら、「趣味は音楽鑑賞」のブログで体験談が載りました。

 眉に唾をつけていたのはやはりぼくだけではなかったのは当然としても、実際に試してしまうところがさすが。

 で、結果も予想どおり。この喩えはなかなかうまいと思います。表面上消えたようにみえても、実際になくなったわけではない、というのは卓見。結局は聞こえないノイズが増えていて、そのためにかえって害があるというのは、他にも良くある気がします。

 ぼく個人としては今のところ UM-2 のパッシヴ・ノイズ・キャンセリング、つまり耳栓方式で十分で、楽しく音楽が聴けてます。電車やバスで出かけるときは、これと Go-Vibe 5 が手放せません。

 余談ですが、ひょっとして Shure のイヤフォンて、Westone Laboratory の OEM なんてことはないんでしょうか。だからって別に Shure がどうこうというわけではありませんがね。

 それにしても最近は Apple Lossless で入れているので、 iPod は80GBでもすぐいっぱい。新しく入れるには何を削るか悩むという事態になってます。タイムドメイン掲示板でそそのかされるおかげで、最近は AIFF 48KHz での読みこみ、なんてのも始めてしまったため、容量不足はますます深刻。HDがいくら大きくなろうと解決はしないので、もう、早く全部ネット上で常時アクセス、ストリーミング、定額サービスにならんですかね。そうなれば、別に全部の楽曲が手元にある必要はないんです。プレイリストやブックマークみたいなものさえあればいい。それだってネット上で、携帯でもPCでも端末の形がなんであっても、どこにいても見ることができればいい。ファイルは AIFF とか WAV とかケチなこと言わずに1ビット5.6448MHzフォーマットの、SACDもてんでかなわない(?)超高音質。というより、ファイル・フォーマットをTPOでいろいろ選べるのがいいな。

 そう言えば、iTunes 7 はパソコンで聞いても、音が良くなってる気がしませんか。昔デフォルトの AAC 128kbps で入れておいたものを聞いても、前より音楽の生々しさが増して聞こえます。うちの環境は iMac G5 + Timedomain Light なんですが。


 東京・中野のフジヤエービックが「正規輸入」を発表したポータブル・ヘッドフォン・アンプ Go-Vibe V5 は、予約が殺到して、メーカーの生産能力を大きく超えてしまったため、「正規輸入」ができなくなったそうです。

 で、結局「並行輸入」という形、つまり故障等の際のサポートがない形になるらしいですが、ならば直接買った方がまた安くなります。ぼくは Paypal で払いましたが、送料入れて1万円でおつりが来ました。

 むしろ、最適とされる電池 9P の 9v、それもよくある 8.4v のものではなく、9.6v のもの、さらにできれば 230mAh がベスト、という指定ですが、この電池と充電池を買うので同じくらい出費しました。しかも結局アメリカ製しかなかったので、充電池は買ってみたものの、日本で使えるのか、自信がありません。アメリカ国内向けの 110v 用なんですけど、大丈夫なんでしょうか(爆)。ちなみに買ったのはアメリカの Maha というメーカーのウェブ・サイト直販です。

 この辺も「正規輸入」となれば、日本向けに調整した充電池付きで電池も販売してくれるのではないかと期待したんですけど、こうなるとちょっと無理そうです。

 このアンプのメーカーはカナダですが、たぶん個人でやっているガレージ・メーカー。それも、これで食べているわけではなくて、副業なんじゃないかと、勝手に推測してます。部品も全部既製品で、だからこんな安くできるんでしょう。買ってからもう少し薄くならないのかと聞いたら、9P の電池が入るケースでもっと薄いのは高いのだそうです。この値段に抑えるならこの厚さもしかたない。

 となると、それにしても、どうしてこういう製品が国内では無いのでしょうかねえ。日本にも少数の愛好者向けのガレージ・メーカーはあるみたいですが、ぼくが見るかぎりではどこも「高級品」指向で、ばか高い。それで食べようとするとそうなってしまうのかもしれませんが、半分道楽で、いわばこづかい稼ぎにやる人がいないもんなんでしょうか。これから隠居する団塊世代から出てくるのを期待しますか。

 回路設計は苦手だが、ハンダ鏝なら得意、みたいな人は結構いるんじゃないかと思いますが、例えばこのメーカーと契約して、国内向けに個人でライセンス生産してくれれば、定価9,800円でその人も販売店もユーザーもみんな「ウインウイン」、というぐあいにいかないもんでしょうか。 (ゆ)

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